完ツユすることについて語るときに僕の語ること
ここまで食べ進めると、主役であるムシウニが沈みかけています。
再びムシウニをいとおしむように触り、おもむろにほんの僅かな量をつまみ上げます。
つまみ上げたムシウニを凝視します。何か我々に意志を伝えているような感じすらします。
あえてこの写真にタイトルをつけるならば、ムシウニの黙示録!Apocalypse!(笑)
このムシウニに再度敬意を表してスープと一緒に口の中へ。口の中でトロリと溶ける食感が磯ラーメンを味わう醍醐味のひとつです。
その後、残されていたカニを食べ、麺をすすります。ここでも眼はあくまでも、しっかりと沈みかけた中央のムシウニにそそぎます。
「これ以上粉々にならないでくれ!」という切なる願いを持ってはいけません。ここでも愛情のこもった視線を貫き通します。
最後に分散られたワカメと一緒に残った麺を一気にすすります。すると・・・
ごちそうさまでした。普通の人は心の中でそう叫ぶでしょう。ちょっと待ってください!そう!主役のムシウニが沈んでいるのです。私を救ってくださいと言わんばかりに。
ということで、初心に帰りレンゲでスープをすくい上げ口に移します。当然、レンゲの底でスープの表面をならすというか、なでるというか、そういう動作をしながら静かにです。
まだあります、主役のムシウニが。
え!?まだあるの?主役のムシウニが・・・
え~~!?まだあるよ!主役のムシウニが・・・
そう!こうなるのは当然の結末。
やはり私は「無芸大食」なのでした・・・
完食で完結です。
(終わり)
by kazuya